弟の卒業コメント集~ふと母にみせてもらった弟の卒業コメント集~彼が大学卒業の際に、卒業生全員が卒業にむけて思い思いの気持ちを冊子にまとめたものです。24歳の学生たちは個性豊かに自己表現していたコメント集であるものの、彼の文章はあきらかに目をひく鋭いものを感じました。 自分のためにも記録しておきたいと思います。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 真夏の夜。海辺にて。 なま温かい海の水が優しく素足をつつむ。真夜中の海がこんなに温かいなんて意外だった。波は穏やかに俺の素足を撫で、尖った心をやわらげてくれる。 心のやすらかさ。 間段なく響く波の音。時折聞こえる花火。満月が波間を照らし、闇夜の舞台の Spot Lightとなる。 我々は海より生まれ、海へと帰って来る。 甘ったるい潮風に包まれながら、ふと目を閉じて思う。俺は一体何処へ向かっているのか?もうそんなことはどうでもよくなった。俺はただ、冒険と挑戦に満ちた日々を邁進してゆくだけだ。そうして俺は一歩ずつ理想の自分へと近づいてゆく。 鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲する者は、一つの世界を破壊しなければならない。夢見ることや、願望や目標を持つのは我々の義務だ。十分強く欲することは、必ずうまくいく。 俺は信じている。一寸の迷いも、鋭い胸の痛みも、やがて俺をおおいなるやすらぎへと導くだろう。俺の旅はまだまだ続く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |